社長からのご挨拶

代表取締役社長

□ 株主の皆様へ

 株主の皆様には、日頃より格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
 ここに、2022年度(第74期)の業績および当社グループにおける取り組みにつきまして、ご報告申し上げます。

□ 事業の経過および成果のご説明

 本年度における世界経済環境は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、資源価格の高騰をはじめとするインフレ進行、各国の金融引き締め政策等による景気後退に対する警戒感が高まる一方で、3年にわたるコロナウイルス感染症拡大の鎮静化傾向に伴う活動制限の緩和とともに物流リードタイムの改善、サプライチェーン混乱の収束が進んでいます。

 このような状況のなか、当社グループは、開発・製造・販売の革新による収益性の改善、適正在庫運営、保有資産の圧縮、固定費の抜本的見直しなどキャッシュ・フローを重視した施策に加えて、新製品による粗利構造改革を推進してまいりました。さらに、働き方改革に取り組むとともに、インターネットを活用した営業活動など新しい経営の姿を模索してまいりました。

 設計計測機器事業ならびに3Dプリンタ事業においては、両事業間の新たな連携により、CADから3D出力までのトータルサービスを提供する「教育機関向けMUTOHパッケージ」を商品化、国内におけるデジタル化教育のニーズに応えるソリューションとして販売展開しております。また、前期より両事業の主力製品の製造を外部委託先から自社の諏訪工場(長野県)に集約し、大判インクジェットプリンタを含む品質・生産管理や調達の一元化・生産の平準化により、品質の向上、コストの削減に向け改革を推進中です。

 一方、主力事業となる大判インクジェットプリンタ事業においては、当社グループの製品価値向上、市場競争力強化に繋げるため、UV-LED照射器を核とした光源技術を応用し、インク硬化用・照明機器用・半導体製造装置用等の照射器や検査装置の企画・開発・製造・販売を行っているアンプスピード株式会社を当社グループの傘下とし、2023年4月には中核事業会社の武藤工業株式会社に吸収合併することにより、技術・ノウハウの共有、人的交流を加速させ、競争力のある製品開発および新規事業の可能性の探求をより一層推進しております。

 また、米国において9月にPRINTING United Alliance(米国印刷工業会)の主催する『2022 Pinnacle Product Award』を11年連続で受賞し、欧州においても10月にデジタルプリンティング業界における最も信頼できるリソースを提供する企業として認識されているキーポイントインテリジェンス社により「クラス最高」と認められる『BLI Pick Award 2023』を受賞いたしました。
MUTOHは、メイド・イン・ジャパンの高品質な設計と製造、そして最高のサービスを誇りとした品質に妥協することのない、常に高い印刷品質、生産性、信頼性を最優先事項として製品開発に取り組み、世界各地で高く評価されています。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は年度前半では、一部主要部品の供給課題が継続し製品出荷に影響が出たものの、販売機会の損失を最小限に抑え、年度後半からの製品価格改定と為替の円安による押上げなどにより、167億94百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
利益面では、営業利益で継続した原価率改善の取り組みと価格改定等により9億67百万円(前年同期比78.6%増)となり、前年同期に対して大幅増益となり、経常利益は、9億79百万円(前年同期比31.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等調整額(益)を2億12百万円計上したことにより8億78百万円(前年同期比13.5%増)となりました。

 なお、2024年3月期の通期業績予想は、ウクライナ情勢その他の地政学的リスク、原材料価格の値上がりが続く一方、インフレ進行に伴う各国の金融引き締め政策による景気後退が懸念されるなか、当社グループは、持続的な増収を基調とした安定収益基盤の確立による通期営業損益の改善を最重要課題として事業構造改革に取り組んでまいります。
 以上により、売上高172億円、営業利益9億9千万円、経常利益10億2千万円、親会株主に帰属する当期純利益6億8千万円を見込んでおります。
 また、次期の配当につきましては、業績に応じた配当を継続的かつ安定的に実施する基本方針の基、1株当たり年間55円(中間配当25円、期末配当30円(年間10円増配))を予定いたします。

 皆様には、今後ともご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

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